疾走

長文ポエマー地下室バンギャル

C1-C7






鶯谷のチケットを取れたときはホッとした。あの温度に、あの明度に、あの速度に、もう一度逢えると思ったから。

時間が過ぎれば過ぎるほど、曲数が嵩んでいくほど、わたしの元風景は壊れて潰れていき、照明は歪み、周囲の声が遠くなり、笑顔はどんどん異形になる。
遂に耐えられなくなって「もう此処に居たくない」と振り返ったその暗がりの恐ろしさを、未だに忘れることが出来ないでいる。


あれはわたしの行く末だ


そう思った。真っ暗だった。何一つ見えなかった。奥行きがあるのかも、高さがあるのかも分からない、音も消えるあの暗闇。怖かった。だから咄嗟に前を向いた。後ろが怖いから前を向く。それは多分、わたしの元々の性質にさえ絡んでいるような気がする。
二度は出会わない。

あれは、このバンドを諦めた、孤独なわたしの暗い行く先。

答え合わせすると、そんな暗いもんでもなかったけどね。





喜ぶことが出来ないのなら、悲しむこともしなくていい。
だからほんとは、怒る必要だってどこにもないのだ。

わたしの存在はもう無い。過去どうであったとしても、もう今は忘れ去られ、無くなった存在なのだ。だから憤ることさえ時間の無駄。全部無駄。死人に口無し、彼等の中で死んだわたしが、わたしたちが、本当にそうであれば良かった。


結局ね。
許せないんだわ。
許したくても笑いたくてもどうしても最後のところで出来ないんだわ。

軽んじて、哀れみ嗤い、踏み躙り、そうして「今が楽しい」と高らかに誇る人間を、どうやって肯んじろと言うの。



沈めばよかったのに。どうせ泥舟。岸に辿り着くことなんか夢のまた夢。