疾走

長文ポエマー密室バンギャル







いない人間に宛てることは出来るんだなあってはーなし
独り言ですドンタッチ




失うのが怖くてライブが終わる度に酷い切なさに襲われて泣きそうになっていたのももう何年も前ですよ。いつか終わってしまうなら、と焦燥感に駆られて闇雲に追い続けた君のだーいすきなバンドは禍根を残して消えました。自分のどこかが変わったのか、相手の何かが変わったのか、小さなズレが大きなひずみになりいつしか心のゆがみになり、3年経ってもロクに成仏も出来ない怨霊の出来上がり、さぞかし醜悪に見えることでしょうよ。
でも生きてるよ。死にたくないこともないけど結局死んでないね。毎日毎日流れ落ちるように過ぎて、楽しみなことも、我を忘れるような思いも、全て遠いどこかの話のように聞こえても、なんとなく、とりあえず、生きている。いつの間にか週が明け月が明け年を取っている。つまんねえ毎日。相変わらず人は好きじゃないよ。残念だったね。

大切なものをなくしても、夢がひび割れて潰れても、可愛さ余って憎さ百倍でも、何を書いても、笑うよね、ぜーんぶ!無駄で!超絶ウケる!クソバカ!きっしょくわる!

それでもまだ、一体わたしは何のために今までの思い出に一生懸命しがみついているんだろうね?



いちばんに好きだったものを失うと、どうやら自然と2番ができる。好感や好意でしかない「好き」だけど、それはそれで楽しいし、励みにはなる。我を忘れることはなくても、一時だけでも嫌なことは忘れられる。それに縋りつくようにしながら、だけど本当は、自分の足がちゃんと機能することを知ってる。自分の目がちゃんと広い角度を映せることを知っている。


どうしてほしかったんだろうね?
久しぶりに熟読した、泣きながら書いて書きながら泣いた文章は、多分今ではもう書けないものだね。あれ読んで思った、情熱って言うのは100を分配するのではなく、10をそれぞれ倍増させていくものなんだと。だからわたしは、あのバンドを失って、自分の半身の色が抜けたのち、少しずつ、書くということへの情熱さえも失っていったような気がするんだ。
どうしてほしかったんだろう、という問いにはやはり、前と同じように、否定も肯定も出来ないまま、分からないですと困惑と羞恥と少しの嫌悪に立って答える小学生みたいなもんで、だから過去形ではなく、今どうしてほしいかを考えた方がまだ成仏出来るような気がする。
あんね、もうほんと、やめたいのね。ほんとは成仏したいのよ怨霊も。だって馬鹿馬鹿しくない?我ながらめちゃくちゃ馬鹿馬鹿しいから。つまんないから。誰が拾ってくれるわけでもないのに、誰が解ってくれるわけでもないのに、何年経ってもぐだぐだぐだぐだ、流石に馬鹿馬鹿しいわ。時間の無駄。だから成仏したいのよ。どうせもうあのときの温度速度明度で好きになることなんて絶対出来ないんだから、じゃあいっそのことキレイサッパリ忘れてバイバイしんじまえー☆とか言えた方がさあ、まだましなんじゃないかなあと思うわけさ。

わたしはさあ、覚えといてほしいんだよ。このやり場のない、悲しみがいつの間にか変質した、底から這い上がってくるような、虚しい憎悪をね。念頭に置いといてほしいんだよ。許さない人間がいるってことを。知らなくてもいい。見なくてもいいんだ。目を当てなくていい。アクションを起こされたいわけでは、相変わらずない。だけど疑ってほしいんだと思う。そういう人間の存在をね。そういう人間が生まれるように仕向けたのは、悪意で以て監視し続ける人間が生まれるように仕向けたのが、他ならぬ自分自身だということを、両目の間に、おでこのあたりに、常に置いておきやがれと思うんだよ。だってそれがさあ、唯一わたしが浮かばれる方法だから。

あの頃のあなたがさあ、誰よりも何よりもあのバンドが好きで、あの人が好きで、目ーめっちゃくちゃキラキラさせて、普段は不機嫌そうにぶすくれてるバカの癖に、あの人の前ではものっすげーニコニコニコニコしてたのはさあ、わたしが一番分かるよ。分かってるよ。楽しかったよね。好きだったよね。あれだけがあなたの、そしてわたしの全てだったよね。そんぐらい、本当に好きだったよね。


だけどもう、それはどこにも存在はしないからさあ。諦めてよ。許さなくていいから、もう諦めてくれ。
もう諦めようよ。忘れよう。触れないようにしていれば、純粋に過去の作品だけ、古いテープにだけ触れていれば、良い思い出のまま、いつか思い出せなくなっていけると思わない?

執着であればそれも良かったよね。今は違う。大好きだったものが大好きではなくなって、どう折り合いをつければ丸く収まってくれるのか、ずっと分かんないまま。

終わってんだよ。終わったの。全部終わり。なのにさあ、馬鹿なの?

本当に好きで、めちゃくちゃムカついて、死ぬほど好きで、悲しくて、好きで、どうしても許せなくて。

今のわたしはね、何にも感じないようになりたいんだよ。何を見ても聞いても、「そんなこともあったね~」って、感情のない声で嗤いたいの。そのために忘れよう。何もかも、思い出せなくなっていきたいんだ。